成人発達障害と検査

双極性障害の治療で病院に通っていたら、ある時先生から「気分の波のベースに生まれつきの特性がある気がする。」と言われました。それまでにも発達障害の簡単なチェックテストを受けて自閉傾向がありそうだと言われていました。双極性障害など精神疾患の根本に発達障害がある場合は少なくないようです。

発達障害という言葉は、何か未発達とか遅延とかマイナスなイメージを植え付ける気がして私はあまり好きではありません。どんな人間も皆発達を続けていると思います。「障害」は生活していく上で様々なものがその人にとってハンディになるという意味だろうと思います。
受精卵から人になるまでには奇跡的とも言えるような様々な変化や成長をしているわけですから、そこに何かエラーがあったり少し回路が異なったりしても不思議ではないはずです。皆一様に成長すると考える方が間違いではないでしょうか。その形や速度がちょっと違う人のことを発達障害者と呼んでいるのだと思います。本人がそれを理由に生活や仕事などで困難を感じていたら、診断をつけて何らかのサポートをするのだと先生は言っていました。

私は改めて先生に発達障害について話をされ、心理テストを受けてみないかと言われました。このテストは誰でも受けるものではないそうですが、私が自分のことをもっと知りたいと言ったので、役に立つならという提案でした。「WAIS-Ⅲ」という知能検査です。この検査の結果では、自分の得意なことや苦手なことなど能力の傾向を知ることができます。

検査は予約が込み合っていて、受けるまでに1ヶ月、結果が出るまでにも1ヶ月はかかりました。1回あたりが2時間前後かかったと思います。長いので2回に分けておこないましたが、学校の試験問題のようなものもあれば、積み木や絵、パズルを使ったものなど様々です。思ったよりも頭を使ったせいか1日目は帰ってから熱を出しました。

結果は全検査IQ、言語性IQ、動作性IQと、さらに群指数とか細かな各検査項目ごとの点数が出され、分析が書かれたシートをもらって臨床心理士の方に説明をしていただきました。私は動作性IQに対して言語性IQが高く、動作性IQの項目の中でとりわけ点数の低いものがありました。全体的にはそう低くない(平均以上のものもある)のに、とても低いものがあるというのがつまり能力のデコボコです。


分析では特にこのようなことが書かれていました。

  • 暗黙の了解や臨機応変な対応が苦手
  • 要点を押さえたり、細部への注意が苦手
  • 物事の見通しを立てること、場の空気を読むことが苦手

だから急な変更が苦手で、大事なところを見落としがちで、取り越し苦労が多いんだなあと思いました…。他者の干渉が少ない環境が良い、作業をパターン化してまめに確認すると良いなど、仕事上のアドバイスも書かれていました。

この検査で発達障害がわかるわけではないそうです。診断には幼児期から今に至るまでのエピソード、母子手帳や通知表などの資料も必要とのことでした。私はそれらを一通り提出して、他にADHDの詳しい記入テストも受けました。そして、軽い自閉症スペクトラムとADHDの特性があり、特にこだわりの強さと感覚過敏が顕著だと言われました。

私は正直この検査の後に気持ちが落ち込んだのですが、これをきっかけに、より自己理解が深まってきたので、受けて良かったと思っています。

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