扁桃摘出と病巣

私は小さい頃から扁桃腺を腫らしたり胃腸を壊したりして、よく病院に連れて行かれました。特に鼻や喉の具合が悪く、扁桃腺が大きく炎症で膿が付きやすかったので、16歳になった頃にこれは手術で取った方が良いと言われました。

扁桃腺が腫れて時々高熱を出す人がいます。熱は悪いものと身体が戦うために出るもので、身体にその元気が十分にないと高い熱を出せないと聞いたことがありますが、私の場合は微熱がだらだら続きました。炎症が慢性化して年中風邪をひいているような状態で、薬を飲んでも根本的な治療にはならず、なんとかしたい一心で手術に踏み切りました。

手術は全身麻酔のため、事前に様々な検査を受けました。そして1週間入院をしました。
私は口が小さく、手術でこじ開けられたためか唇の両端が切れてしまい、麻酔から目が覚めた時真っ先にその傷が痛みました。術後1日は喉の傷口も痛くて座薬を入れるほどでしたが、日に日に回復して、食事もできるようになりました。

扁桃の摘出術は、時代によって盛んにやった時期とむやみにやらないようにした時期とあるようです。それは、扁桃は免疫に関わる器官で、ウイルスや細菌に対して防御壁のような役目をしていることが明らかになってきたためだそうです。でもあの当時は、まだ扁桃腺は取るという考えの方が主流だったんじゃないかと思います。
ただ、いつ頃からか「病巣感染」といって、その部位だけの症状でなく他の臓器への影響・病変が起こるという概念があり、現在も腎臓の病気などで扁桃摘出を行う治療があるみたいです。私の扁桃腺は当時、病巣と考えられたのだろうと思います。なぜなら「放置すれば他の臓器にも影響が出るだろう」と医師に言われたからです。

それでなくても「扁桃腺をとったら元気になった」という話は聞いたことがあったので、私は少なからず期待をしていました。でも、退院の日が近づくとまた不安が押し寄せてきました。家に帰るのも学校へ戻るのも怖い…私は本当にこれまでになく健康になって、学校生活を送れるんだろうかと。
退院した日の私の表情がとても暗かったので、担当の看護師さんが心配していたと母が言っていました。

結果的に私は前より元気にはなりませんでした。
喉元の炎症のある感じが取れず、また何度も耳鼻科へ通院しましたが「もう炎症はないから、来なくていいよ。」と言われました。
その後転院して、喉の奥深く、気管のあたりに確かに炎症があると言われました。また、鼻水が喉に落ちて刺激しているのかもしれないという話をされたのもその時が初めてでした。

たぶん、私の病巣は扁桃腺ではなかったのです。そして、病巣という概念があることや、上咽頭という盲点があったことを知ったのはそれから20年余り先のことでした。

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