過呼吸と手のしびれ
私は子供の頃からよく乗り物酔いしていました。自動車で家族と出かける時は必ず酔っていたので、遠出はとても苦痛でした。
高校生の頃、通学途中にバスに酔って道端で吐いてしまったのですが、そばを通った女子高生たちと目が合い、ヒソヒソと笑われたのをとても悲しく悔しく思いました。その時、具合が悪くなっても誰も助けてはくれないという思いが、強く私の中に刻まれました。
成長してからも乗り物酔いは治らず、吐くことにも恐怖心がついてしまい、バスや飛行機が苦手になりました。特に飛行機はベルトで固定され、具合が悪くなっても降りられず逃げ場がないことが怖いのです。それでも学生時代は実家に帰省するのに飛行機を使わねばならない所に住んでいたので、行き帰りがとても苦痛でした。
中高生の頃は呑気症のせいで吐くこともありました。吐いた時や吐き気を感じた時はなぜかいつも手がしびれました。ビリビリとしびれてきて、硬直したようになります。足の方やひどい時は全身がしびれたこともありました。
初めて全身がしびれた時は恐怖感でいっぱいでパニックを起こし、母が病院に電話をしましたが、あと少しで救急車を呼ぶところでした。
嘔吐下痢などでたくさん吐いて脱水症状を起こすとしびれることがあるのは知っていたのですが、空嘔吐しただけでもしびれることがあるのはなぜなのか、よくわからないままでした。よく考えると、過去には強い不安やストレスを感じた時にも同じように手足が硬直することがありました。その時は、息苦しさも感じました。
少し前のことですが、ある場所で他人同士が私の頭の上で喧嘩を始めるという事態が起こりました。攻め合っている会話を聞いているうちに、私は動悸がして手が震え、指先がしびれてくるのを感じました。
その場は退散してことなきを得ましたが、後日精神科の先生にその話をすると、「過呼吸では?」と言われました。「過呼吸だと手がこわばりますよ、こんなふうに。」と先生が真似して見せたのは、まさに私の手がしびれた時とそっくりでした。それで、私はやっとその症状が過呼吸なのだということを知りました。
過呼吸というと息ができなくて死にそうな感じになるという話をよく聞きますが、呼吸の問題だけでなく、冷や汗やめまいや、手足がしびれてこわばる症状もあるんですね。原因がわからなくて余計に怖かったので、少し安心しました。
最近はストレスを極力避けて生活しているせいか、この症状は出ていません。
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