病気や障害のステレオタイプ

発達障害の認知が広まるにつれて、インターネットでも本でも発達障害に関する情報を多く目にします。私も自分について理解を深めようと活用していますが、時としてそういう情報が発達障害へのステレオタイプ(思い込み)を生んでしまうのではと思うこともあります。私自身も情報発信する側として気をつけなければならないところです。

まず大きな前提として、病気や発達障害の状態・症状は人によってまったく違うということがあります。
テレビで障害者を扱った映画やドラマを観ると、「自分はここまで症状が重くないな」と思うことが多いのですが、主治医はそれは当然だろうと言っていました。ああいったものは典型例を取り上げていることが多いから、と。
ただ、同じではなくても自分にも似たような所があるなと思うことはあります。ドラマなどは様々なエピソードが含まれているので、その症状や特性がどういう時に困るのか、どういう苦しみがあるのかなど、私の場合は文字で読むだけよりもわかりやすいと感じます。

発達障害についてのホームページの中には症状チェックリストなどがあって、病院で私が受けたものと全く同じものも見たことがあります。自分でやってみて、かなり当てはまるとか、自分は違うなとか思ったことのある方もいると思います。
私が病院でもらった自閉症スペクトラムとADHDのチェックテストを自宅でやった時に感じたのは、「設問の意味がわからない」ということでした。たとえば「こだわりが強い」とはどういうことか、私はその時は理解していませんでした。また「同じやりかたを何度もくりかえし用いることが好きだ」というのもピンときませんでした。言葉の意味ではなく、自分の普段のどういう場面がそれに値するのかがわからなかったのです。自分の中では普通だと思っていることですし、イメージしづらいのです。その結果、最初のチェックではADHDはないと言われましたが、後から詳しくテストした時には「薬を出しても良いレベル」だと言われました。こういうテストは正式にはきちんと説明を受けながらやるべきだと思いました。

診断の際に本当に必要なのは、テストの数値ではなくエピソードなのだと先生は言っていました。チェックリストの項目になんとなく当てはまる気がするということではなく、それを裏付ける具体的なエピソードが必要なのです。そのため、母子手帳とか通知表などの資料も必要で、それでも十分ではない場合もあるので、たとえば「学校でからかいの対象になることが多かった」とか「水が怖くて頭を洗うのと水泳を嫌がった」とか細かなエピソードを医師と共有することが大切みたいです。

病気や発達障害に対するステレオタイプは、自分自身への気付きを阻害するだけでなく、それを抱えている人への誤解にもつながりかねません。発達障害については現在も解明されていない部分も多く、今後も情報が更新されていくはずです。こういうものだと決めつけたり自己判断をすることなく、新しい情報に目を向けたり専門家に相談することが大切だと思います。

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