空気を呑む病気(呑気症)

自覚したのは小学校のプールの時間。私は水泳が最も苦手でした。息継ぎがうまくできなくて、水を飲んでしまうことも多かったのですが、授業の後は決まってお腹がパンパンに膨らみ吐き気がしました。
飲んだ水で…というよりも、お腹に空気がいっぱい入っている感じがしました。

中学校に入って、このお腹が空気で膨らむ症状はプールの授業でなくでもしょっちゅう起こるようになりました。緊張した時、大笑いした時、食事をした時など。生唾を飲み込んだりすると同時に空気を多く飲み込んでしまう癖があるようで、しかもそれをゲップなどでうまく出すことができませんでした。横隔膜のあたりに蓋が閉まっているような感じがするのです。痰が多かったり、鼻の具合が悪い時は特に症状が強くなりました。

お腹は硬く張っている感覚があり、まるで妊婦さんのようにめいっぱい膨らんでしまうので、急激に洋服のウエストが苦しくなり、吐き気もします。お腹がさらに張らないよう唾を飲み込むのすらつらくなり、どう呼吸していいのかわからなくなります。
思春期の私は瘦せ型でしたが、洋服のウエストのデザインやサイズをいつも気にしていました。

また、お腹の中の空気が動いて「グウ〜」と大きな音がしたりするので、シーンとした教室などでは恥ずかしく、さらに緊張感が強くなります。もっと言えば、空気というのはガスですから、そのガスが下に降りていけば当然オナラをたくさんもよおします。しかし教室でブウ〜などとやれないですから、こらえるわけです(音を消す技術も身につきましたが)。誰でも経験があると思いますが、オナラはあまりこらえると具合が悪くなります。ちなみに飲み込んだ空気のオナラというのはさほど臭いがありません。

「具合が悪いです」と手を挙げて教室を出ることもありましたが、それも度重なると人の目が気になり、授業が終わるまで吐き気をこらえてトイレに駆け込むこともありました。トイレでゲエ〜っと空気を吐き出すと少しラクになるのです。しかしその音がまた大きくて人目が気になりました。
私は保健室にはよくお世話になった人間ですが、中学校の保健の先生だけは嫌いでした。なのでトイレで耐えるか早退するかのほぼ2択でした。布団の中で横になり身体を温めると、不思議とガスが出やすくなりました。

お腹の中身が空気であることは、病院でレントゲンを撮った時に証明されました。胃の中に大きな空気の塊が写っており、先生もびっくりしていました。でもそれがなぜそのようになるのか、病名などを告げられることはなく、医師によっては「気にしすぎ」とか「運動不足」とか「自律神経失調症」などと言われました。不明な病気への決まり文句みたいなもんです。

この謎のお腹が膨らむ症状はずっと私を苦しめました。そしてほとんどの場合、人に話しても本当の苦しさをわかってはもらえませんでした。「呑気症」という病名が分かった時のことや専門医にかかった時のことをまた今度書こうと思います。

>>「空気を呑む病気(呑気症)2」

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